『新潟2歳ステークス(G3)』~新種牡馬ジョーカプチーノの戦い~
明日、新潟競馬場で『新潟2歳ステークス(G3)』が行われるわけですが、人気になるであろう一頭にマイネルバールマンという馬がいます。
6月4日の東京5R芝1400メートルで、関東圏最初の新馬戦を制した馬なのですが、彼のお父さんはジョーカプチーノといい、マンハッタンカフェの産駒(子供)で2009年のNHKマイルCをレースレコードで優勝するなど、その年、マンハッタンカフェがチャンピオンサイアーとなる原動力となりました。
しかし、13年の種牡馬入り当初の注目度は低く、初年度(現2歳世代)の種付けは28頭。
この年最多は、ディープインパクトの262頭で、同じ新種牡馬のルーラーシップは208頭。
ジョーカプチーノ産駒の2歳馬はわずか16頭と、数の上では圧倒的に劣勢ですが、その中から新種牡馬産駒のJRA初勝利を飾り、重賞に産駒を送り込みます。
マイネルバールマンが初勝利を挙げたのは6月4日ですから、種付けシーズンは終了間際だったわけですが、この1勝で問い合わせが殺到し、今年は54頭に種付けをしたそうです。
これが競馬が“ブラッド・スポーツ”と呼ばれるゆえんで、子供が走るか走らないからわからない新種牡馬ジョーカプチーノは、種付けを希望する人が少ないし、種付けをする相手(繁殖牝馬)の質もあまり高くない。
もちろん、種付け料も高くない。
しかし、そんな状況のなかでマイネルバールマンがJRAの新馬戦を勝った。
これは、父のジョーカプチーノが種牡馬として、JRAで通用する能力がある可能性を示す出来事になりました。
でも、この時点では高い、低いはともかく、可能性があるかも知れないという程度のものです。
なのになぜ、こんなに駆け込み種付けがあったのかというと、まずは時期的に種付けをするのにギリギリだったということがあると思います。
競馬は若いうちは同級生で走るレースが多いので、少しでも早く産んで成長を促した方が有利です。
ですから、種付けシーズンは早い牧場は2月から始まり、5月いっぱいまでになります。
しかし、種付けをしたからといって、必ずしも受胎するとは限りません。
ですから、おそらく駆け込みでジョーカプチーノに種付け依頼をした繁殖牝馬は、もっと早い時期に種付けを計画実施し、不受胎だったのであろうと推察します。
繁殖牝馬の不受胎が確認された場合、そのまま翌年まで種付けはしないケースもよくありますが、仔馬が産まれるか産まれないかが死活問題となる牧場もあります。
そういう場合は、二度目の種付けを実施することもあります。
ただ、人気のある種牡馬は種付け料も高いですし、予約が詰まっていますから、簡単にはお願いできません。
そこで、人気のない、種付け料の安い、スケジュールに余裕のあり、種牡馬としての可能性があるかも知れないジョーカプチーノに白羽の矢が立てられたのでしょう。
当然、種付け頭数が増えれば産駒が活躍する可能性は高くなります。
そして、産駒が活躍すれば種付け料も高くなり、さらに繁殖牝馬の質も上がってくるのです。
マイネルバールマンはまだ1勝馬です。
しかし、このレースを勝てば重賞ウィナーになります。
初年度から重賞ウィナーを輩出したとなれば、ジョーカプチーノの評価は爆発的に上がります。
そして、もちろん、その逆もあります。
競馬は競馬場だけで行われているわけではないのです。