馬は人を踏まない?
去る4月23日、東京競馬場で藤田菜七子騎手がレース中に落馬し、あわや大事故と言う場面がありました。
しかし、後ろにいたアップタウンガールという馬が、とっさに藤田騎手を飛び越えてくれたおかげで、大事に至らずに済みました。
あのシーンを見ると、アップタウンガールが意識的に藤田騎手をかばったかのように見えますが、馬は藤田騎手につまずいて自分がバランスを崩すことを回避したに過ぎません。
「馬は絶対に人を踏まない」
そんな話を聞いたことがある人もいるかも知れません。
しかし、それは妄想です。
人間も床の上に置いてある本やCDやネコは踏まないようにしますよね。
でも、歌にもあるように「ネコふんじゃった」なんて、経験がある人もいるでしょう。
本もCDも踏む気がなくても、うっかり踏んじゃうことありますよね。
人間の場合、モノを踏むことを悪い行為だという意識があります。
それなのに、踏んでしまう事があるのですから、馬だってうっかり人の足を踏んじゃうことはあります。
いや、「うっかり」と言うことはではないですね。
馬にとっては、人の足を踏むことは“悪い行為”ではありませんからね。
馬が人の足を踏んだとしたら、それは馬が脚を運んだ先に、自分の足を置いていた人間が圧倒的に悪いのです。
「馬は絶対に人を踏まない」
こんな妄想は馬を表す美談ではなく、人間が偉いと思い込んでいる愚かな思い上がりだと、僕は思います。