馬は臆病?
連休最終日、一週間振りに遊馬に顔を出しました。
今年のゴールデンウィークは雨続きで「満足に営業できたのは(5月の)3日くらいだった」とオーナーは嘆いていました。
しかし、まぁ、天候ばかりはどうしようもないですからね。
馬の仕上がり具合を考えると、例年通りにお越し頂いてもご期待に添えられたかどうかは微妙です。
そう考えれば、“恵みの雨”だったとも言えなくもないですからね。
そう言う事にしておきましょう(笑)。
さて、仕上がり具合が気になる新戦力のルナちゃんですが、僕はおよそ10日振りに騎乗しましたが、順調に良化していますね。
まだ、自分が何をしたらいいかが分かっていないので、乗った直後はテンションが上がり何度か物音などに過剰に反応していましたが、間もなく折り合いを付ける事ができました。
ルナのように物音や、見慣れぬ物に対して驚いたりすると、多くの人は「この馬は臆病だ」と言います。
しかし、馬はバカでもない限り、みな危機管理能力に長けています。
それは優れた本能であり、調教でどうこうなるものではないと僕は考えています。
「慣らす」と言う方法もありますが、それはやり方を間違えるとイジメになる可能性もあると思います。
例えば、『恐怖映像100連発』なんて言うテレビ番組を見て、「ギャーッ!」ってなる人に、「慣れろ、慣れろ」と手で顔を押さえて画面を見ることを強要するような真似をしたら、それこそ不信感を募らせるだけですよね。
では、どうしたら「ギャーッ!」ってならないようになるか。
僕が考える方法はただ一つ。
相手に信頼され、頼られる存在になることです。
そのために、自分はどのように振る舞わなければいけないか、それは自分がどういう相手を信頼し、頼りにするかを考えればいいと思います。
もしも、海外でうっかり危ない路地裏に入ってしまったとして、物陰からいかれた感じの人が出てきたら、ドキッとはしますよね。
これは本能だからどうしようもありません。
この時、一緒にいるのが出川哲朗さんで、「ヤバイよ、ヤバイよ」なんて言われたら生きた心地しませんよね。
でも、一緒にいるのがエメリヤーエンコ・ヒョードルさんだったら、全部ヒョードルさんに任せますよね。
この時、ヒョードルさんがファイティングポーズを取ったり、僕に何かを話しかけてきたら一気に状況が緊迫します。
こう言う時は、ヒョードルさんには堂々と道の真ん中を歩いてもらいたいですよね。
ですから、僕も馬が何かに驚いたりしたら、何事もなかったようにやり過ごすようにしています。
しかし、乗馬の常識では、馬が何かに恐怖を感じているようなら、低く優しい声で話しかけることになっていますから、みなさんはそのようにして下さい。
僕は自分がお喋りな人は信用しない性格なので、馬に話しかけることは余りありません。
その分、自分の指先に神経を集中させて、手綱と心で意志の疎通を図るように心がけています。
そして、馬のテンションが上がった時は、とにかく心を動かさないように意識し、拳の動きを最小限に抑える事が、僕流の馬に信頼してもらうための技術です。