馬肥ゆる秋
よく馬の体重を聞かれることがありますが、遊馬の馬たちは計量する機会がないので、正確にはわかりません。
ただ、パッと見で300~400㎏くらいかなぁ…と。
また、正確ではないのですが、こんな計算方法があります。
馬の胸回りと、肩端から臀端を測ります。
そして、下の公式に当てはめます。
胸回り(cm)の二乗 × 肩端から臀端の長さ(cm) ÷ 12000
これで、その馬の体重がだいたいわかるそうです。
日本で最も多く見られる馬の品種はサラブレッドになるわけですが、その多くが競走馬として世に出てきます。
日本の競馬では、JRAのみならず、地方競馬でも、ばんえい競馬でも、出走馬の計量が行われ、それが公表されるシステムになっています。
ちゃんと調べたわけではありませんが、僕の印象ではサラブレッドの牡なら480㎏、牝なら440㎏くらいが平均的だと思います。
僕がパッと見で馬の体重を推測するのに用いるのは、かつて競馬場のパドックで見た馬たちとの比較です。
昔、発表された馬体重を見ずに、パドックで馬だけを見て体重を予測したりしていたことがあり、大幅にズレることは殆どありませんでした。
それどころか、ドンピシャで言い当てられることもしばしばでした。
まぁ、馬券の方はからっきしでしたがね(笑)
ちなみに、JRA出走馬の中で最も軽量のサラブレッドは、2011年4月9日に阪神競馬場の未勝利戦に出走した際のグランローズで、330kgということです。
逆に最重量馬は2015年1月17日に京都競馬場で行われた4歳以上1000万下のレースに出走した際のショーグンで、640㎏です。
ばんえい競馬での最重量馬はわかりませんが、僕が生で見た中ではサカノタイソンという馬が一番大きく、2002年2月17日帯広競馬場で行われた『ばんえい記念』の1212㎏です。
ただ、出走9頭全てが1000kg以上でしたので、突出して大きいという印象はありませんでした。
ちなみに、サカノタイソン自身の最高体重は2002年1月3日の『帯広記念』での1227㎏ということです。
馬体重の計量について、“日本の競馬では”と申し上げましたが、僕の知る限りでは、海外の競馬では行われていません。
…ということは、それは「必要ない」と思われているからなのでしょう。
確かに、馬の体重を把握することがそんなに大切なら、遊馬の馬たちも毎日体重計に乗せなければなりません。
しかし、それは必要のないことだと思います。
ただ、それは他の視点から馬の体調や精神状態を推し量れるからであり、レースとレースの間を知ることのできない競馬ファンにとっては、レース検討をする上では、結構重要なファクターになるのではないでしょうか。
もちろん、単純に「(馬体重が)減ったらいい」とか、「増えたらいい」とかは言えませんし、その増減に神経質になり過ぎるのもどうかと思いますが、その馬のベスト体重や、厩舎の思惑や、その時期の気候などを加味しながら発表された馬体重を見るのは、なかなか面白いものですよ。
例えば、今は秋(北海道はもう冬モードですが…)ですよね。
「天高く馬肥ゆる秋」
…というくらいですから、秋は馬が肥えやすい時期です。
まぁ、元々の意味は少し違うのですが、冬に向けて脂肪を蓄える準備を身体がするでしょうし、涼しくなって汗もかきにくくなるので、これからの時期は馬体重は増えて当然と考えるべきでしょう。
逆に大きく減っているようなら、「前走のダメージがあるのではないだろうか?」とか、「厩舎スタッフと巧くいっていないのではないだろうか?」とか、「隣の馬房の馬に恋わずらいしているのではないだろうか?」などと、考えながら見ると、さらに競馬が面白くなるのではないでしょうか。