フタをする
京都のメイン『きさらぎ賞(G3)』はオンザロックスがハナを切り、3番人気のロワアブソリューは2番手で折り合いを付けるのにひと苦労。
先行集団を見ながら1番人気のサトノダイヤモンドが行き、それをマークしながらロイカバードという展開。
前半1000m通過が59.8秒ですから、数字上は平均ペースですが、それぞれのレースの形が定まっていないこの時期の3歳戦にしては、速めの流れと言って良いでしょう。
オンザロックスは4コーナーまで先頭を走り、見せ場を作り結果5着と健闘してくれましたが、勝ったサトノダイヤモンドからは大分離されてしまいました。
それにしても、サトノダイヤモンドは強かったですねぇ。
直線、軽く気合いを付けただけで先頭に立ち、懸命に追いすがるロイカバードをステッキ2発で楽々突き放してしまいました。
これでサトノダイヤモンドは3戦3勝となりましたが、とりあえずロイカバードとの決着はついた感じですかね。
むしろ、ゴール前でロイカバードを差しきって2着したレブランシュの方が、まだ逆転の可能性はありそうです。
一方、東京競馬場ではマイル重賞『東京新聞杯(G3)』が行われ、スマートレイヤーがこれまでのレースからは一変した作戦でハナを切り、終いも上がり(ラスト600m)33.5秒を記録し快勝。
今後の短距離戦線を盛り上げていってくれることでしょう。
しかし、このレースで印象に残ったのはダッシングブレイズですね。
この馬が、最内をうかがう姿を見ていて、何か嫌な予感がしました。
JRAの裁決としては、強引に先行馬を抜きに行って起きた事故として、浜中俊騎手に過怠金5万円を課したと言うことですが、僕の目にはあのスペースを割って入るべきか否かを決定しきれぬまま進出してしまい、あの痛ましい結果を引き起こしたように見えました。
もう20年以上前になりますが、F1レーサーのアイルトン・セナ選手がレース中の事故でお亡くなりになられた際に、かつてのチームメイトであるゲルハルト・ベルガー選手が事故への恐怖について尋ねられ、こんな風に答えられていました。
「時速300キロでコーナーに入っていくんだ、恐くない訳がないだろ。でも、大切なのはその気持ちにフタをすることだ。僕らが『恐い』と思ったら、次の瞬間、目の前にはウォール(壁)があるからね」
浜中騎手にとって今回の事故が、2週間前に中京競馬場で起こしてしまった大きな事故と因果関係があるのかどうかは僕にはわかりませんが、体の怪我(4箇所骨折)よりも浜中騎手の心痛をご案じ致します。
とにかく焦らず、じっくり自分と向き合い、また素晴らしい騎乗を見せていただきたいです。